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松江地方裁判所 昭和43年(わ)152号 判決

主文

被告人は無罪。

理由

一本件公訴事実の要旨は、「被告人は昭和四三年一一月一〇日施行の八束郡東出雲町長選挙に際し、立候補した長谷川仁の選挙運動者であるが、同候補者に投票を得しめる目的をもつて、同月七日頃から同月八日頃までの間、同選挙の選挙人である同町大字下意東五一八番地青木邦男ほか五名を戸々に訪問し、同候補者のため投票を依頼し、もつて戸別訪問をしたものである。」というのである。

審理の結果、右事実は、(一)被告人の当公判廷における供述、(二)青木邦男、石田英尚、青木康子、富田登喜雄、三島フサ子、藤田トミノの各検察官に対する供述調書、(三)東出雲町選挙管理委員会委員長作成の「選挙権の有無照会回答書」六通、によつてこれを認めることができる。

二しかし当裁判所は、別紙記載のとおり、公職選挙法一三八条一項は憲法二一条一項に違反し無効の規定であると考える。

よつて本件は罪とならないときにあたるから刑事訴訟法三三六条により被告人に対し無罪の言渡をする。(永松昭次郎)

(編注・別紙記載は、前掲その2の(イ)の判決理由第三項と同文であるから、省略する。)

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